移行作業が無事成功しましたので、手順を公開してみます。
まずは前提条件とそれに基づく作業の全体概要から。
■環境情報
1.ドメイン構成
・フォレストルートドメイン foo.bar.com
・移行対象ドメイン sub.foo.bar.com
2.サーバ構成
・既存上位DCサーバ(正) DCsv001.foo.bar.com(Win2008、FSMO)
・既存上位DCサーバ(副) DCsv002.foo.bar.com(Win2008)
・既存下位DCサーバ(正) subDC01.sub.foo.bar.com(Win2012、FSMO)
・既存下位DCサーバ(副) subDC02.sub.foo.bar.com(Win2012)
・新下位DCサーバ(正) subDCS1(Win2016)
・新下位DCサーバ(副) subDCS2(Win2016)
3.NW構成
・foo.bar.com 192.168.18.0/24
・sub.foo.bar.com 192.168.16.0/24
・ゲートウェイは、両セグメントとも上位L3SWに構成(L2SWを介して接続)
■ポイント
①移行対象はサブドメインのDCサーバ
→作業日程の都合上、フォレストルートのDCのサーバは移行しませんでした(本当はしたかった)
②新DCサーバはWindows server 2016
→私が携わった時点で既にハコだけ用意されていたので、選定基準は不明です。2019…
③新DCサーバには既存DCのホスト名・IPアドレスを引き継ぐ必要あり
→ 宗教 運用 上の理由から新しい名前でサーバを構築する事は許可されませんでした。
④対象環境のフォレスト及びドメインの機能レベルが2003になっている
→Win2016は機能レベル2003ではサポートされないそうです。
フォレストとドメインの機能レベル
⑤対象環境のフォレスト及びドメインはFRSで稼働している
→今後の事も考えて、DFRSへ早めに移行すべきと判断しました。
(移行NGならシステムバックアップからリストアする事になりそうなので)
Windows Server バージョン 1709 では FRS がサポートされなくなった
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4025991/windows-server-version-1709-no-longer-supports-frs
■作業概要
1.事前作業
1-1.新下位DCサーバ(正副)のセットアップ
・移行前仮ホスト名・IPを設定
・社内規定に沿ったセキュリティ製品の導入/Windows更新パッチ適用
・ADDS、DNS、WINS(既存DCと同じ役割・サービス)の追加
1-2.既存上位・下位DCサーバ(正副)のシステムバックアップ
・wbadminコマンドでバックアップ
1-3.既存上位・下位DCサーバの設定変更(正側でのみ実施)
・機能レベルを2003→2008に更新(下位ドメイン→上位ドメイン→フォレスト の順)
※古いアプリが稼働している為、.Netへの影響懸念から2008R2以降への更新は断念
・SYSVOL複製機能をFRSからDFSRへ更新(下位ドメイン→上位ドメイン の順)
1-4.新下位DCサーバ(正副)のドメインコントローラ昇格
・念の為並行作業はせず、正の昇格完了後に副を昇格
2.DCサーバ副(BDC)の移行
2-1.既存下位DCサーバ副(subDC02)をDCから降格・シャットダウン
・dcpromoではなく、サーバーマネージャから役割の削除の流れで降格する
2-2.subDC02の情報を下位ドメイン上から削除
・Active Directoryユーザーとコンピュータ >Computers
・Active Directoryサイトとサービス >Servers
2-3.新下位DCサーバ副(subDCS2)のホスト名をsubDC02に変更
・netdom computername %COMPUTERNAME% /~~(enum add makeprimary remove)
2-4.新下位DCサーバ副(新subDC02)のネットワーク設定を変更
・IPアドレス、DNS、WINS
2-5.新subDC02にて、既存下位DCサーバ正(subDC01)からFSMOを転送
※サブドメインの為、スキーママスタ、ドメイン名前付けマスタはドメイン内に持たない
3.DCサーバ正(PDC)の移行
※基本的にBDCと同じ作業になります
3-1.subDC01をDCから降格・シャットダウン
3-2.subDC01の情報を下位ドメイン上から削除
3-3.新下位DCサーバ正(subDCS1)のホスト名をsubDC01に変更
3-4.新下位DCサーバ正(新subDC01)のネットワーク設定を変更
3-5.新subDC01にて、新subDC02からFSMOを転送
4.事後確認
4-1.NTPの同期状況確認
4-2.DNSの同期状況確認
4-3.ADクライアントからのドメインログオン確認
※実際には、作業の各ポイントで「ドメインログオン、SYSVOLの参照」での確認を実施しています。
次回以降で具体的な手順について記載したいと思います。
明日は移行後立会の為、次の休みにでも…